群馬県前橋市の電子地盤図の解説


■地盤の解説
■地盤モデル






■地盤の解説

 前橋市の地盤を,微地形区分との対応に基づいて簡単に説明する。
図1に前橋付近の微地形区分を示す。この辺りは,榛名火山山麓,赤城火山山麓,前橋台地,広瀬川低地に4区分される。 榛名火山山麓と赤城火山山麓の間には利根川が流れる。 利根川は,前橋台地を削って南向きに流れている。利根川が現在の流路をとるようになったのは16世紀前半と考えられている。 それ以前は広瀬川低地を流れていたことが知られている。

 前橋台地は,今から2.1~2.4万年前に浅間火山の爆発で発生した火山泥流が堆積してできたものである。 この堆積物は前橋泥流と呼ばれ,前橋砂礫層の上に15~18m程度の厚さで積もっている。 前橋泥流層のN値は大きくないが,この層が比較的安定していることは利根川の岸にある崖の状況から推察できる。

 広瀬川低地は以前の利根川流路に当たる。地表面を掘ると3m以内から砂礫層となる。 この砂礫層は3mを超える厚さを有する。この層の下に前橋泥流堆積物の層があり,さらにその下に前橋砂礫層がある。 前橋付近の地盤に関する特徴の1つに,有機質土を含む地層の存在を挙げることができる。 有機質土は榛名火山山麓と前橋台地との境界付近および赤城火山山麓と広瀬川低地との境界付近に堆積している。







■地盤モデル

 榛名火山山麓および赤城火山山麓では,N値が50を超える層が3m続く場合にその上面を基盤面とし, それより上の層をモデル化した。 また,前橋台地および広瀬川低地では,基本的には前橋砂礫層の上面を基盤面と考えてそれより上の層をモデル化した。 ただし,広瀬川低地では地表面下3m以内に砂礫層が存在し,この層長が3mを超えるため, ほとんどの場合この砂礫層でボーリング調査が打ち切られる。 前橋砂礫層まで達するボーリングのデータ数が少ないため, 前橋砂礫層の上面を基盤面とした場合にはモデル化できるメッシュ数が限定されてしまう。
そこで,ボーリング調査が前橋砂礫層まで達していないメッシュでは, N値が50を超える砂礫層が3m以上あればその上面を基盤面とみなし,これより上の層をモデル化した。 したがって,広瀬川低地ではメッシュ内のボーリング長の最大値によって基盤面が変わる。 2つの基盤面が混在することとなるが,より多くのメッシュでモデル化を行うことを目的としてあえて上述の取り扱いとした。

 図2はモデル化した層厚の分布である。図1と見比べると,広瀬川低地で層厚が明らかに小さい。 一方,前橋台地にあるモデル層厚のほとんどが15m以上で,多くは18m以上となっている。

 図3と図4にそれぞれ前橋台地と広瀬川低地の地盤モデルを5箇所ずつ例示する。 (a)がモデルであり,縦軸に標高をとって5箇所の標高差が分かるように並べている。 小さな数値はN値である。(b)は5箇所それぞれの位置を図2と同一の図上に示す。 広瀬川低地のモデルを示す図4では,前橋砂礫層まで達する5箇所のモデルを選んでいる。 図4(a)の地盤モデルをみると,地表面下3m以内から礫質土層が数メートル続き, その下に前橋泥流に相当する火山灰性粘性土や砂質土の層がある。 広瀬川低地の多くのモデル層厚が3m以内となっているのは, 図4(a)の礫質土層より上の部分すなわち地表面下3m以内のみをモデル化していることが多いためである。 なお,図3と図4で(a)に示す地盤モデルの層厚を比べると,前者の方が大きいことが分かる。

 図5は,有機質土層の存在の有無を地盤モデルによって調べた結果である。 榛名火山山麓と前橋台地との境界付近,赤城火山山麓と広瀬川低地との境界付近に有機質土層が分布する。 有機質土は地表面下3m以内に堆積していることが少なくない。 広瀬川低地において2つの基盤面の混在をあえて許し,モデル化対象メッシュ数を増やしたため, 有機質土層の分布状況を明示することが可能となっている。




図1 微地形区分
図1 微地形区分




図2 工学的基盤面より上に存在する地層の厚さ
図2 工学的基盤面より上に存在する地層の厚さ




(a) 地盤モデル
(a) 地盤モデル

(b) モデルの位置
(b) モデルの位置
図3 前橋台地における地盤モデルの例示とその位置





(a) 地盤モデル
(a) 地盤モデル

(b) モデルの位置
(b) モデルの位置
図4 広瀬川低地における地盤モデルの例示とその位置




図5 有機質土層の存在の有無
図5 有機質土層の存在の有無